「夜のピクニック」(恩田陸・新潮社)
高校生ぐらいの行事の想い出というのはどうしてこれほどまでに美しいのだろう。たまにこういうどうしよもない青春小説というのを読んでみたくなる。恩田陸はその思いに応えてくれる数少ない作家のひとりだと思う。最近出た「蛇行する川のほとり」も読んでみたい。
「戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない」(高遠菜穂子・講談社)
昨年の夏ぐらいだったろうか。日経ビジネスの「敗軍の将 兵を語る」というコーナーでなぜか高遠さんへのインタビュー記事が載っていたのが気になって本を読んでみた。内容の確度や主張の是非は多々あれど、繰り出される言葉の持つ力は行動に裏打ちされているだけあって踏まれても決して折れることがないように思う。
印象に残ったのは監禁された家にいた老人と少年のこと。まったく見ず知らずの異人を家に迎えて寝食を供するというのはどういう気分だったんだろうか。