とりあえず本を読んでみた。
面白かった。
自分はおおよそシュタイナー教育と名のつくものには触れてこなかったと思う。でも記憶に残っている小学校とか中学校で受けたちょっと風変わりな授業の断片は、その考えの中で捉えると、ああそういうことだったのか、という気がしてくる。
ひとつは小学校のときの図工の時間。図工は絵が描くのが下手な僕は正直言ってあまり好きな時間ではなかった。ただ覚えているその授業はみんな同じ方法で空の絵を描くという授業だった。いつも使っている絵の具を思いっきり水で薄めて、ほとんど水に近い形で縦にした
画用紙に縞模様に色を塗っていくというものだった。一番上が一番濃くて、下にいくほど薄く、最後はほとんど画用紙の白と違わないぐらい薄く塗るという、ただそれだけのことをみんなでやった。すると、本当に画家が描いたようなきれいな空が描けた。自分で描いたものをちゃんときれいと思えたのは初めてだったと思う。あのときの驚きは今でも覚えている。
ふたつめは中学校の生物の時間にやった精密写生。植物の葉と昆虫の実物を見て、鉛筆一本で精密な博物画を描くという宿題。要するに絵の上手下手ではなく目の前にあるものを見てるか見ていないか、それだけの問題なのにずいぶん苦労した。頭で見ていると、いつのまにかそれはデフォルメされた形になっている。見ているようで見ていない。これは今でもときどきそういう自分に気づいてはっとする。
これがシュタイナー教育と関係あるのか、まだ勉強し始めた僕にはなんともいえないし、それをやっていた先生がシュタイナー教育のことを勉強していたかどうかは、今となっては確かめようがない。でもひとつだけ言えるのは、もう20年も昔のことになろうということを未だに覚えているという事実。そこには知識を得たことではなくて、実際に感じた驚きとか発見がいつもあったように思う。
とりあえずはもう少し勉強してみたい。