「風使い通信・屋久島紀行」製作日記(98年7,8月分)。
7月6日
- 「風使い通信・屋久島紀行」レイアウト終了。14頁+表紙。微妙に4の倍数に足らず...この辺に積年の焦りが感じられる(笑)。
- 最近の選挙。選挙案内の葉書が横浜市港北区から来た(^^;(ちなみに今の住所は千葉市花見川区)。なんでも3月25日以降に転入したひとは、現住所での選挙人名簿には載っていないらしい。僕が引っ越したのが3月28日なので、しっかり引っかかっているわけである。ここで棄権するのは非常にくやしいので、半ば強引に横浜に寄って不在者投票を済ませた。僕の場合は多少遠出をする程度で投票できるからまだマシであるが、ちょうど春の引っ越しシーズンにもろにひっかかっているので、結構似たような状況...いやとんでもない状況に陥っているひとは多いはず...むむむ。基本的には個人的理由による引っ越しなので文句を言える立場にはないのだが、ほんの少しの配慮があればいいかもしれない。
- 最近の映画。ようやく「タイタニック」を観た。相変わらず今更な行動である(爆)。実に簡単な映画であった。ストーリーは船が氷山にぶつかって沈むというただそれだけ。登場人物の設定も上流階級の娘、悪者の婚約者、平民だが勇敢な男という単純明解さ。絵描きだったというのがちとひねりがあるぐらいか。ディズニーのアニメーションを想像するとだいたい間違いなかったりするかも。
- でも非難してるのではなくて、こんなに単純なのに3時間半楽しませたあんたはえらい!ということですな(^^;。娯楽映画に理屈とわびさびの世界は不要。めくるめく恋物語を楽しむという点に関しては上出来の逸品。とにかくふたりの世界以外のことはほとんど背景も同然に語られないという潔さが、極めてよろしかったりします。
- 「もののけ姫」も、もっと潔ければ良かったのかも。アシタカくんはちょっとあっちこっちに色目使いすぎだもん(爆)。
7月27日
- コミックマーケット54の新刊情報を掲載しました。ものごとの方はなぜか順調に進んでるのですが、告知にまったく気をつかってなかったことに気づき、あわてて更新する始末...たはは。
- 先週開催したnaucon'98関係のことをいろいろ書きたかったりするのですが...ちょっと未だに頭も時間もまとまらず...。ただなんとなくコミケというものが始まった頃の楽しさというのはこういう雰囲気だったのかな、というのをちょっと実感した気分。もちろん僕の単なる想像。でもこういうイベントって思い付いたことをすぐにやってみて、それで何か「あーこういうことかっ」ってすぐに手応えが生で感じられるのってやっぱりとても大切だし貴重なんだなと思います。ちなみに来年naucon'99は来年7月中旬に福島or仙台で開催予定。
- 最近のビデオ。安倍さんがキャラクター原案をやっている`lain'のPreview版ビデオがTSUTAYAに置いてあったので借りてきて見ました。安倍さんの絵はたまたま友だちが画集のCD-ROMを買ったのを見せてもらって、それからはまりました。すごく気にいってます。絵の好みというのももちろんあるのだけど、眺めているだけで雰囲気を感じられる、空気を感じられるような絵というのはとても惹かれます。想像力(創造力と言ってもいい)をすごく刺激されるから。WWW上に山ほどある絵でもそういう力を持つ絵は意外と少なくて、この安倍さんの絵をみたときはなんか宝物を見つけたような気分でした。で、最近AXにイラストを連載してるなーとか思っていたら、この`lain'の絡みだったんですね。アニメーションにして雰囲気がどうなるか、というのが気になってたのですが、杞憂だったようです。おすすめ。主人公の女の子のこめかみにある髪飾りがすてき。
- そういや「横浜買い出し紀行」のビデオ見てないなぁ...あっちは大丈夫だったのだろうか...。
8月3日
- 今日「風使い通信・屋久島紀行」と「エミシの国のカヤ姫」うちわの原稿の入ったMOを印刷屋さんに発送しました。今回夏コミ当日は参加できないので、事実上作業はこれで全て終了。イラストを提供していただいたふくはらさん、あわたけさんには感謝です。どうもありがとうございました。あとは当日よろしくお願いです。>麦茶さん
- さて。長々と1年近く続いた(よくもまー(^^;)この製作日記もそろそろおしまいになります。今回はあまりに製作期間が延び過ぎた...のと、卒業、引っ越し、就職など身辺にも変化がいろいろあったりして(実はこれからまだあるのですが...その話はまたいずれ)ざっくり振り返ってみることはできないのですが...ひとまず「これだけは作りたい」と思っていたものは一通り作れたわけで、僕自身としては一つの区切りがついたかなと思っています。最後はちょっと意地になってたという話もありますが(^^;...。
- 今後のことに関連して。ここしばらく「坂の上の雲」(司馬遼太郎・文芸春秋)を読んでたのですが...うーむなかなかどうして僕にとっては人生を変えるぐらいの衝撃のある作品でした。司馬さんの作品を読むのはこれで4作目ぐらいなのですが、「なぜもっと早くこの作品に出会っていなかったのであろう」というぐらい面白かった。情けない話ですが。いや実に惜しい。もしこれを高校生ぐらいのときに読んでいたら、あるいは歴史についてもっと深い興味を抱いていたかもしれません。ひょっとしたら技術屋にならなかったかもしれないですね(^^;。
- 日露戦争という血生臭い史実を題材にしながら、なぜこれほど面白いと思えるのか。読み終ったあとにぼんやり考えていたのですが、それはただ登場人物の巧みな描写に他ならないです。軍の司令官から一兵卒まで、その時代を生きたひとがどういう環境で生まれて育ち、なぜその現場に居あわせるに至り、そしてどう行動したのか。このことは以前にこの日記でも取り上げた「アンダーグラウンド」の描写とほとんど同じなんです。「アンダーグラウンド」を面白い評するのはあまりに不謹慎なのですが、僕が基本的に興味を強く感じる話というのは具体的な人間の話なのかなと思い至りました。物語の上の記号ではない、人間の話。
- とするならば、やっぱり僕は「ナウシカ」についてもおそらく似たようなことをみているのかもしれません。もちろん架空の世界ではありますが、「ナウシカ」が好きなのは、あの時代に生まれ育ち生きたナウシカという人物のその`こころ'が感じられるから。だから好き。というわけで、しばらくはこの世の中に埋もれてる「もう1つの『ナウシカ』」を探してみよう、というのが今後しばらくやろうかと思っていることだったりします。
- そして...うまく行けばまたこの製作日記を書ける日が来るかもしれません。ひとまずはこれにて。また機会がありましたらお目にかかりましょう(^^)。
8月8日
- ...やはりタダでは来ない有明・夏の陣(笑)。印刷屋さんへの入稿は無事完了したのだが、うちわの業者さんが来週からお盆休みに突入ということで事実上アウトに(^^;。そこはあわてずさわがずおちついて。関係方面と協議の結果、市販のうちわ製作キットに印刷して作ることになる。印刷そのものの質は変わらないが、数があまり出来んかも。たぶん売る分は10ぐらいかと...すみませんです。欲しいひとは午前中に来てね。
- ちゅうわけで、午後うちわ製作キットを仕入れに秋葉原に行ったのですが...あの「蒼きウル」のCD-ROMからGAINAXから出てることを発見。見たい〜。どうせなら本にして欲しいもんだけど...やっぱりだめかなぁ。
8月30日
- いわゆる後日談。
- 今日コミティア45会場にて、ようやく「風使い通信・屋久島紀行」と「エミシの国のカヤ姫」うちわを手にする。本の方はあいかわらず滔々と文章が連ねてあったりして、読み手のイマジネーションを喚起する何かに欠けているような気配あり。反省。たださすがに1年間も熟成(腐敗?)させただけあって、全体的なこなれ具合はいい感じ。巻末のふくはらさん提供の写真ページもモノクロながら想像以上によかった。モノクロ侮ることなかれ。まー、オフセット仕上げという裏技もあったりするのだけどね(平綴じ16頁50部なのに(笑))。
- うちわの方は...作った本人ものけぞる(爆)出来。なんといってもあわたけさんのイラストがよいのだけど、裏書きも適当に考えたわりにははまっているような。ちなみにこの元ネタってわかりますよね?(ちなみにnaucon'98の看板イラストも意外に元ネタを知ってるひとが少なかった...あれ別に趣味で眼鏡をかけさせたわけじゃないのよ...わかって(^^;)
- というわけで、代表の麦茶さんからブツを受け取ったあと、ふくはらさんとことあわたけさんとことに御挨拶。ほーんとあきらかに通りすがりの編集猫がまぢめな絵描きさんを巻き込んだーって感があって...申し訳ないやら感謝やらでいっぱいだす。またそのうち巻き込みますので(笑)見捨てないでやってくだせぇ。
- あ、ちなみにコミティア45に出展していたわけではありません。念のため(^^;。
風使い工房出版事業部へ戻る
風使い工房へ戻る