読書日記(六番目の小夜子)
by 鈴木 宏枝
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六番目の小夜子(ろくばんめのさよこ)
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原題 | (N/A) | 読んだ日 | 2001.7.13 | ||
著者 | 恩田陸(おんだりく) | 訳者 | (N/A) | 画家 | (N/A) |
出版社 | 新潮社 | 出版年月日 | 2001.2.1 | 原作出版年 | 1998 |
感想 | <裏表紙より、少し付け足して>
津村沙世子−−とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生(女が見ほれちゃうほどの才色兼備)。高校には十数年にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒(男でも可)が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。 こわい話が苦手なので、ハートはつけないけれど、物語としては、こわさを支える土台部分としての、高校3年生の日常が、レトロスペクティブにかもしれないけれど、すごくおもしろく読んだ。残念なのが「共通一次」という言葉。それで一気に時代が特定されて、作者が過ごした頃の高校生活なのだなあということが分かってしまう。現代の話として私は読んでいたので、「なーんだ」という気になってしまった。 物語は、「神の見えざる手」をいくつかの面から浮き上がらせたような。幽霊、学校というよく回る独楽にちょっといたずらしてみたい教師の思惑、普通の高校生である秋や小夜子や雅子や由紀夫らの、少しずつの想いの積み重なりが巧い。半ばのクライマックスの学園祭の場面。百物語風の迫力と一応のオチが怖かった。 見えざる手は、多分学校。学校という場に集約されたり拡散していったりする力学は、誰しもが知っている感情であるゆえに、リアリティを持つし、題材としても上手だと思った。 |