読書日記(チグリスとユーフラテス)
by 鈴木 宏枝
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チグリスとユーフラテス(ちぐりすとゆーふらてす)
原題(N/A)読んだ日2001.7.13
著者新井素子(あらいもとこ)訳者(N/A)画家(N/A)
出版社集英社出版年月日1999.2.10原作出版年(N/A)
感想【オビのあらすじ】  遠い未来。地球の人々は他の惑星への移民を始めた。その九番目の惑星「ナイン」に向かう移民船に搭乗したのは、船長キャプテン・リュウイチ、その妻レイディ・アカリを含む30余名の選りすぐりのクルーたち。人々は無事ナインに定着し、人工子宮・凍結受精卵の使用により、最盛期には人口120万人を擁するナイン社会を作り上げる。だが、やがて何らかの要因で生殖能力を欠く者が増加しだし、人口が減少しはじめ、ついに恐れられていた「最後の子供・ルナ」が生まれてしまう。たった一人、取り残されたルナは、怪我や病気のために「コールド・スリープ」についていた人間を、順番に起こし始める。最後の子供になると知りながら、母親は何故自分を生んだのかを知るために。また、ナインの創始者でもあるアカリに惑星の末路を知らしめるために。ルナと四人の女たちで語られる、惑星ナインの逆さ年代記。

 二段組で500ページの長編。テーマがエモーショナルな部分で重くて、読みたくない、読みたくない、と思いながら、それでも、先を知っておきたいという気持ちで読み進めた。新井素子お得意のパラダイム・シフトがあって、最後の1割分くらいから、私にとっては生き生きしてきた。物語を読むというより、新井素子の叫びを聞いたような感じ。
 性と生殖へのスタンスや、灯(アカリ:芯のしっかりした強い女性という以外には平凡な女性だったのだが、信仰的対象としての「女神」になるはめになる)の強烈な人生、想像力と死への思いなど、はっとする部分もあった。終わりから始まりへ。死と、そしてその後に。物語の巧さに遊ぶのではなく、むしろ、自分の問題をつきつけられたよう。猫とルナのかかわりは、ちょっと強引だった、かなあ。
 いくつかの意味で、SFは女のもの?と思う。


鈴木 宏枝
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