読書日記(青い丘のメイゾン)
by 鈴木 宏枝
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青い丘のメイゾン(あおいおかのめいぞん)
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原題 | Maizon at Blue Hill | 読んだ日 | 2001.4.24 | ||
著者 | Jacqueline Woodson(ジャクリーン・ウッドソン) | 訳者 | さくまゆみこ | 画家 | (N/A) |
出版社 | ポプラ社 | 出版年月日 | 2001.1 | 原作出版年 | 1992 |
感想 | 1作目に比べて、メイゾンの心のひだや、人種のトピックにしても、いろんな方向から光を当てていこうとする姿勢が、あざとくなく、素直に読み進めることができた。メイゾンの詩は、1作目では父親への思いを言葉に乗せ、それはそれで感動的ではあったのだが、2作目でメイゾンの心境にフィットしている方が「らしい」感じがする。1作目で、メイゾンが電話越しにマーガレットに言ったことは嘘だった。その嘘が、本当はどうだったのか、そして、その嘘を思わずついてしまったメイゾンのいじっぱりとプライドと、さみしさの描き方がていねいである。
新しい寄宿学校に入ったときの不安と、新しい人間関係という王道に乗りながら、トニ・モリソンの読み方(うぅ、中学生で読むのか、かの地では)や、「連帯」をめぐる一枚岩ではないさまざま。おもしろかった。 デルさん「人種差別ってのは肌の色だけが問題なんじゃないし、死は老人だけのものじゃないし、苦悩は力のあるなしと関係ないんだからね」(p.123)。パウリも気になるところで、「肌の色なんて関係ない」という分かったようなスタンスを、もう一度考え直すおもしろさのきっかけになりそうである。 |