読書日記(こいぬとこねこは愉快な仲間)
by 鈴木 宏枝
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こいぬとこねこは愉快な仲間(こいぬとこねこはゆかいななかま)
原題(N/A)読んだ日2000.11.10
著者Josef Capek(ヨゼフ・チャペック)訳者いぬいとみこ 井出弘子画家(N/A)
出版社河出書房新社出版年月日1996.11.5原作出版年(N/A)
感想 最初の邦訳は1968年童心社。カレルにばかり目が行っていたチャペックなのだけど、うえさんの日記を見て、ヨゼフにも興味を持った。ナチに迫害され、強制収容所で亡くなったとは知らなかった。
 この話はこいぬとこねこの連作短編集で、すっとぼけたナイスコンビぶりが、ユーモアと暖かさをかもし出している。二匹とも至って真剣で、ちゃんと人間のように暮らしているのだが、作家のチャペックさんや子どもたち(人間)が出てくると、動物的になる。ちょっと、青い鳥に出てくる犬と猫の精を思い出した。「こいぬとこねこがケーキを焼く」「こいにとこねこの劇ごっこ」などがおもしろかった。特に「劇ごっこ」では、人間の子どもたちが、聖ミクラーシュ(サンタクロース)と天使の扮装をして、親切にしてくれたこいぬとこねこのところに行くと、こいぬとこねこも子どもたちをサプライズさせようとして同じミクラーシュと天使の扮装をしている。同じかっこうのペアが向きあって呆然としているところの一瞬の間と挿絵のおもしろさ、その後の動的な愉快さが印象的だった。
 1930年代という早くから、ヨゼフの作品も日本に紹介されていたことに驚き。作品は、チェコという国の歴史や文化にしっかりねざしている。評伝も読んでみたくなった。


鈴木 宏枝
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