読書日記(トビアと天使)
by 鈴木 宏枝
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トビアと天使(とびあとてんし)
原題Tobia e l'angelo読んだ日2000.8.21
著者Susanna Tamaro(スザンナ・タマーロ)訳者高畠恵美子画家(N/A)
出版社あすなろ書房出版年月日2000.8.15原作出版年1998
感想 『マルティーナと天使』ではなく『トビアと天使』であるところがせつない。マルティーナの両親は、マルティーナが生まれたせいで、自分たちが夢をかなえることができなくなったと思っている。マルティーナの心の支えはママの方のおじいちゃん。ママとパパがどなりあうのは「ゴミ箱に捨てる言葉」だけど、おじいちゃんがくれるのは「鍵の言葉」。言葉にそれぞれ感じる色や風合いが、詩のように物語にまきついている。
  毎週2回来てくれていたおじいちゃんが、来てくれなかった日、マルティーナは自分を責めて家出した。捨てられたものを集めるピーナ、『カラフル』とはまた趣の違う守護天使。現実とそれに重なる心の世界、嗅覚の鋭いウサギ、守護天使の「こちょ」。
 最後はハッピーエンドで、タマーロのせつない願いが感じとれる。哲学的な内容や、幸せ・不幸せ、運命など、抽象的な言葉を追うところがクセだけど、この作品ではそれが生きているのではないか。
  抗菌加工の羽にくるまれたい。映画になりそう。


鈴木 宏枝
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