読書日記(暁の星をおびて)
by 鈴木 宏枝
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暁の星をおびて(あかつきのほしをおびて)
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原題 | I Wear the Morning Star | 読んだ日 | 2000.5.30 | ||
著者 | Jumake Highwater(ジュマーク・ハイウォーター) | 訳者 | 金原瑞人 | 画家 | (N/A) |
出版社 | ベネッセ | 出版年月日 | 1989.7.20 | 原作出版年 | 1986 |
感想 | 再読か、再々読。学会発表の必要性から読み始めたのだけど、純粋にひきこまれていって、撃たれる。シトコの孤独と渇望があまりにもリアルで、またうまく立ち回ってやってやろうとしつつ、やはり深みに足を取られていくようなリノもつらく、二人ともがハイウォーターの分身であることを考えると、ハイブリッドに生きることは、かくも引き裂かれる経験か、と思う。クラブで同人誌をつくる場面は、ほのかに希望が芽吹くのだけど、その後のパーティで、それもまたドッカーンとおばあさんに、心の深く柔らかい部分の痛みを撃ち抜かれてしまう。 ヴィジョン・クエストをして、キツネに出会い、また、赤い髪と緑の目の若者に色彩をヴィジョンとしてもらうシーンは印象的。その前にも、シトコは『赤いキツネ』もとい『赤い子牛』にひたいのしるしをもらう。ヴィジョンという意味では恵まれすぎというほどだろう。あとは、それをいかに共同体で生かすか。それはむしろヴィジョンの側の意志なので、やはりシトコはつらいのであった。 最後の現在形が効いている。アマナのもうろくというか、ヨイヨイの世界は、インディアンの何でも混沌として一体化している世界と同じなのか、否か。 |