Gelsominaの本の散歩道(星の王子さま)
by Gelsomina

星の王子さま(ほしのおうじさま)
原題(N/A)読んだ日2004.12
著者サン・テグジュペリ(サン・テグジュペリ)訳者内藤濯画家(N/A)
出版社岩波書店出版年月日(N/A)原作出版年(N/A)
感想
 友人とのふとしたやりとりから、子ども時代より記憶のなかに積み重ねてきた本たちを、読み返してみようと思い立ちました。あのころ感じた気持ちといまの気持ちではどう違いどう変わっていないのでしょうか。まずは『星の王子さま』です。
 たしか11歳くらいのころにたいそうすきだったのですが、そのすきさかげんは「この本にはずいぶん不思議なことが書いてあるなあ」というものでした。なにかいいことが書いてあるようなのだけれど、どこか遠い声のようなかんじ。でもいま読んでみると物語の言葉は深く、ちっぽけですがそれでもあれこれ重ねたわたしの人生経験が、王子さまの言葉のなかに凝縮されているようにおもい、本を持つ手がすこし震えてしまいました。
「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思っているのはね、そのバラの花のために、時間をむだにしたからだよ」 
 というキツネの言葉があります。ここでいう「時間をむだにした」とはどういう意味なのでしょう。原文をあたっていないので確かではありませんが、「時間を失う」とか「時間を費やす」という意味かなと想像しています。つまり、なにかをたいせつに思うことはそのもののために時間を費やすこと、そして自分の時間を失っても惜しいとはおもわないものだといいたいのではないか、とおもったのです。
 とはいえ的はずれなことをいっているかも知れず、センスの鈍さを露呈しているだけかも知れません。須賀敦子さんの『遠い朝の本たち』にもこの本に触れてる章があります。数年前のユリイカと合わせて読んでみようとおもいます。
 こういう言葉もありました。 「まっすぐどんどんいったって、そう遠くへいけやしないよ」  これから横道にそれ寄り道しながら少しずつ、「記憶のなかの本」も読み返していこうとおもっています。


Gelsomina
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