読書日記(ジャンポールという名の魚)
by さかな
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ジャンポールという名の魚(じゃんぽーるというなのさかな)
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原題 | Un Poisson Nomme Jean-Paul | 読んだ日 | 2003.11.7 | ||
著者 | ブリジット・スマッジャ(ぶりじっと・すまっじゃ) | 訳者 | 末松氷海子 | 画家 | 小泉るみ子 |
出版社 | 文研出版 | 出版年月日 | 2003.9.20 | 原作出版年 | 2001 |
感想 | ジュリアンはひとりっこ。家族はお母さんと、お母さんの婚約者のジャンポール。ちなみに、金魚にジャンポールという名をつけたのは、お父さんが黒い金魚をみて、作家のジャンポール・サルトルに似てるなぁと言ったから。一緒に暮らしていないお父さんは考古学者で年中あちこちを飛び回っているが、時間のある時はジュリアンとすごそうとしている。ジュリアンはお父さんが好きで、ジャンポール(こちらはお母さんの婚約者)は好きじゃない。 ある朝、起きてみると、金魚鉢の中のジャンポールは死んでいた。朝といっても、明け方のように早い朝だったので、お母さんもジャンポールもまともにとりあつかってくれず、そのうえ……。 少年の内面はこちゃこちゃと複雑で、それが夜の悪夢につながり大声をあげたりにつながっている。親たちは自分たちのことばかりにかまけていて、ジュリアンの内面になかなか気づかない。124ページで文字も大きくあっというまに読めてしまうけれど、少年の気持ちがよく伝わってきた。悪夢にうなされて起きてしまうというのは、寝不足にもなるので精神的なものだけでなく、体力的にも消耗するのですもの。この物語にはピアニストのグレン・グールドの名前もよく登場し、ジュリアンはこのグレン・グールドのピアノ曲をよく弾く。そうそう、グールドも演奏中に声をあげたりしているのだ。いまから10年以上も前に、グールド好きの人から即興演奏のテープをいただき、それから私もよく聴くようになった。訳者あとがきがおもしろく、「この本には、今ではフランスの子どもにもあまりなじみがなさそうな作家のサルトルやピアニストのグールドが登場し、読者はとまどいを覚えるかもしれませんが、これは原作者の好みとうけとめて、ジュリアンの心にそって読んでほしいと願います。」とあった。 |