Yan’s 読み記(エルフギフト 上 復讐のちかい)
by Yan
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エルフギフト 上 復讐のちかい(えるふぎふと じょう ふくしゅうのちかい)
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原題 | (N/A) | 読んだ日 | 2003.11.3 | ||
著者 | スーザン・プライス(すーざんぷらいす) | 訳者 | 金原瑞人 | 画家 | (N/A) |
出版社 | ポプラ社 | 出版年月日 | 2022.7 | 原作出版年 | (N/A) |
感想 | エルフとサクソン人の王との間に生まれた私生児エルフギフト。 嫡出の息子が三人と実の 弟という王位継承者が4人もいるのに 王の遺言は「跡継ぎはエルフギフトに」だった。 前評判から私が連想したのは兄弟同士の 殺し合い、王位簒奪、復讐の嵐だったが そのとおりの殺し合いが上巻で始まっている 嫡男のアンウィンがこの中で一番の悪役だ 弟たちを愛しているふりをしながら、 自分の 地位を脅かす者としていつかは除こうと 計略する。 手始めにエルフギフト追討に次男を差し向け、 反対にエルフギフトに次男を殺させてしまう。 三男のウルフウィアードを エルフギフトと直接対決させて瀕死の重傷を 負わせる。 エルフギフトはといえば、異界で女戦士の特訓を受けて力をつけるのだが、 サクソンの 神話を基にしていながら、ケルトの神話に よく似ているので驚いた。 まさにクーフーリンと同じだ。エルフギフトもその死ぬ時期を 神によって決められているという。 誰が王になるのか、誰が死ぬのか そういう緊迫した状態が続く物語だ。 悪者がアンウィンなのに対し、エルフギフトは 癒しの能力をもつ善人なのかと思えば 必ずしもそうでないところが理解に苦しむところだ。 その心の中に、死に行くものがいて 悲しい運命を背負っていたとしても どうということはない、 誰でも同じ運命をたどるのだ、という覚めた心を持っているからだ。 それでもうりふたつの弟ウルフウィアードと戦った後 、彼の命を救ったのは エルフギフトだ。 神の加護をこのことによって失ってしまうことを知っていながら あえてそうしたのはなぜだろうか。 きれい事、うわべの勇気や高潔さをまったく 扱っていないのが この物語のすごいところだ 人の心の悪、汚さを見せつけられた気がした。 |