読書日記(森の小さな開拓地)
by さかな

森の小さな開拓地(もりのちいさなかいたくち)
☆
ISBN:4-8340-1728-1
ID:1042343470
原題Little Clearing in the woods読んだ日2003.1.12
著者Maria D. Wilkes(マリア・D・ウィリクス)訳者土屋京子画家Dan Andreasen
出版社福音館書店出版年月日2002.11.30原作出版年1998
感想ローラのお母さん、キャロライン物語3巻め。クワイナー一家の物語。今まで住んでいた家を離れなくてはいけなくなる。お母さんは、離れた土地を買い求め、移り住む。今までのような快適な家ではなく、そまつな小屋のような住まいにキャロラインはがっかりする。おかあさんは、みんなの気持ちをひきたてるよう、細々と心遣いをする。次々と立ちはだかる難関。植えた作物が荒れた天気ですべてダメになる。そこで、一番近くの町へ職探しに行く一家。得た仕事は開拓労働をしている人たちにごはんをつくること。それも三度三度。男達の食欲はすごく、家族それぞれが役割を担いこなしていく。最後に少し春がみえてくるのがうれしい。
この時代、この場所では本当に「男」の力(腕力)が必要だっと思う。父さんという、力がなくなって子ども6人かかえて、このお母さんの働きぶりはすごい。子ども6人にそれぞれ暖かいまなざしを常にそそぎ、生活していく道を探す。「力」が必要な時は親戚に頼るがそれも最小限だ。この本に出てくる料理のあったかさ、湯気を感じるような描写。窓ガラスがどれだけありがたいか。今の自分の生活をふりかえる。子どもの時に読むのと確実に違うのは、大人になり親になり、生活や家族が当たり前に身近にあることだ。だからこそ、朝起きた時に寒くても、ストーブのスイッチをいれるだけで部屋が暖まることをありがたく思う。昨日、読んだ幸田文の「台所の音」で――(京都のおんなのひとの)優しさは一代こっきりその人だけという、底の浅いやさしさではないと思う。女代々伝えてきた、厚みのある優しさがうかがえるものだ、と(露伴から)教えられた。――(引用、かっこは私が補足)それを思い出す。キャロラインのお母さんの強さ、やさしさも、脈々とつながるものを感じた。充実した読後感。


さかな
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