読書日記(森の小さな開拓地)
by さかな
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森の小さな開拓地(もりのちいさなかいたくち)
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原題 | Little Clearing in the woods | 読んだ日 | 2003.1.12 | ||
著者 | Maria D. Wilkes(マリア・D・ウィリクス) | 訳者 | 土屋京子 | 画家 | Dan Andreasen |
出版社 | 福音館書店 | 出版年月日 | 2002.11.30 | 原作出版年 | 1998 |
感想 | ローラのお母さん、キャロライン物語3巻め。クワイナー一家の物語。今まで住んでいた家を離れなくてはいけなくなる。お母さんは、離れた土地を買い求め、移り住む。今までのような快適な家ではなく、そまつな小屋のような住まいにキャロラインはがっかりする。おかあさんは、みんなの気持ちをひきたてるよう、細々と心遣いをする。次々と立ちはだかる難関。植えた作物が荒れた天気ですべてダメになる。そこで、一番近くの町へ職探しに行く一家。得た仕事は開拓労働をしている人たちにごはんをつくること。それも三度三度。男達の食欲はすごく、家族それぞれが役割を担いこなしていく。最後に少し春がみえてくるのがうれしい。 この時代、この場所では本当に「男」の力(腕力)が必要だっと思う。父さんという、力がなくなって子ども6人かかえて、このお母さんの働きぶりはすごい。子ども6人にそれぞれ暖かいまなざしを常にそそぎ、生活していく道を探す。「力」が必要な時は親戚に頼るがそれも最小限だ。この本に出てくる料理のあったかさ、湯気を感じるような描写。窓ガラスがどれだけありがたいか。今の自分の生活をふりかえる。子どもの時に読むのと確実に違うのは、大人になり親になり、生活や家族が当たり前に身近にあることだ。だからこそ、朝起きた時に寒くても、ストーブのスイッチをいれるだけで部屋が暖まることをありがたく思う。昨日、読んだ幸田文の「台所の音」で――(京都のおんなのひとの)優しさは一代こっきりその人だけという、底の浅いやさしさではないと思う。女代々伝えてきた、厚みのある優しさがうかがえるものだ、と(露伴から)教えられた。――(引用、かっこは私が補足)それを思い出す。キャロラインのお母さんの強さ、やさしさも、脈々とつながるものを感じた。充実した読後感。 |