読書日記(屋根にのぼって)
by 鈴木 宏枝
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屋根にのぼって(やねにのぼって)
原題Getting Near to Baby読んだ日2001.9.19
著者Audret Couloumbis(オードリー・コルンビス)訳者代田亜香子画家(N/A)
出版社白水社出版年月日2001.7.5原作出版年1999
感想 とてもおもしろかった。途中まで、自分の精神状態が本に集中できなくて、トロトロ読んでいたのだけど、ふっと目が覚めてからぐぐぐっと一気に読めた。
 口をきかない妹、赤ちゃんの死、家族など、テーマも描き方もけっこう古典的なのだけど、安心感と意外性が同時にあるし、女の子たちは(隣家のリズも含めて)生き生きしていて、話の流れもスムーズ、ウィナの気持ちの変化や写し鏡のような小さな妹の存在など、読書を素直に楽しめた。
 ジョイというベイビーの名前。『肩胛骨は翼のなごり』とか『おやすみなさい トムさん』とか。ジョイという英語の言葉に込められる意味に、作家はやはり引き寄せられるのだろうか。
 「信用できない語り手」というのがあって、一人称で書かれていても、まるごと信じてはいけない本がある。「ペテンの語り」とまではいかなかったけれど、ウィラの「おばさんの家に行きたかった」という独白には、はっとした。
 もちろん、ホブおじさんがいいのだけど、パティおばさんも味がある。私なんか、けっこうこっちのタイプに近いんじゃないかな(^^;
 この本も、金原先生絡みだった。うーん、素晴らしい。
 題名を見たときから感じていた『宇宙のみなしご』のこと。屋根はやはり、特別な場所なのかも。


鈴木 宏枝
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